大人の工場見学

【大人の工場見学】@新潟


超ロングセラーのなくてはならないモノ

”シンゴウセン”から30年

私が知っている新潟の人たちは、とにかく歌うのと食べるのが好き。人をもてなすことが得意で、土地のものを褒めると本当にうれしそうな顔をする。82課はかつて新潟の合繊素材だけを取り扱う専門チームとして誕生した。そんな、とても古くて長いお付き合いであるメーカーさんを訪ねた。
82課の超ロングセラー、MELANG double clothRELAxION toroを作ってくれているスペシャリストなメーカー。

新合繊ブームと呼ばれた80年代後半、合繊の開発は日本がリードしており、海外が真似できない素材を新潟や北陸のメーカーさんが沢山つくっていたそう。
海外でも「シンゴウセン」の名が知られた。
シルキー(絹の質感やドレープ)、ドライタッチ(麻の風合い)、梳毛調(ウールライク)などに分けられ、異型断面糸やアルカリ減量加工といったそれ以前の技術を進化させた。天然繊維に負けず劣らすの風合いと、合繊ならではのイージーケア性は、そのころの人達の生活を変え、ショッキングな登場だっただろう。
時代は進み、日本で作られていた沢山の素晴らしい素材が、日本人の手で海外へと生産を移した。
生地は原料から糸、撚糸、織、染色と沢山の工程が必要だが、そのそれぞれの工程に詰まった丁寧なひと手間も惜しまずに海外へと伝えられ、今では私たちが安心して使えるクオリティのものが全く問題なく海外で生産できるのだ。それはもちろん、コストへも影響する。いいものを安く。安ければ沢山の人がその製品を手に取り、生活に取り入れることができる。
じゃあ、日本で作る、made in japanは、日本でしか出来ない、でなくてはいけないのでは?
生地を作る、まあ実際の織るという工程は現在自動織機の導入によりほとんど人の手を必要とすることはない。効率化すれば値段は下がるわけだから、大量生産の工場ほど人の姿は数えるほどしか見受けられない。人の手が必要なのは特に設定を変更する工程だ。すべてのものの生産にはロットと呼ばれる必要な数量がある。効率を求めるほどロットは大きくなり、同じものが大量につくられる。それに対して新潟では、小ロット生産(合繊の中では、、、)に対応するため、レピア織機というアナログな織機を多く導入。
生産効率は落ちるが、需要に応じてさまざまな素材を作れる、ちょっとのんびり屋さんな機械で生地を作っている。
また、ストレッチが得意なのもこの産地の特徴。ストレッチ素材はおりあがった後に引っ張られた生地が縮もうとするため、染色過程で巾が縮むことが多い。そのため、通常よりも幅の広い織機で織ることが必要となる。2mを超える幅の織機となると、とても希少で、この織機でしか作れないストレッチ素材は順番待ちになることも多い。
82課は、『おしゃれは服が好きな人だけのものではない』といつも思っている。

名古屋からは片道4時間!

新潟県は魚沼に代表されるお米の産地や、燕三条には刃物や金物の一流メーカーなど、丁寧なモノづくりが有名。生地もお米やお酒と同じで、水のきれいな川の近くで作られます。=訪ねると必ず美酒が!



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